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【感想】映画『この世界の片隅に』。普通という幸せを実感したいあなたへ

2016年11月23日

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(c)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

「この世界の片隅に」公式サイト

あらすじ

18歳のすずさんに、突然縁談がもちあがる。
良いも悪いも決められないまま話は進み、1944(昭和19)年2月、すずさんは呉へとお嫁にやって来る。呉はそのころ日本海軍の一大拠点で、軍港の街として栄え、世界最大の戦艦と謳われた「大和」も呉を母港としていた。
見知らぬ土地で、海軍勤務の文官・北條周作の妻となったすずさんの日々が始まった。

夫の両親は優しく、義姉の径子は厳しく、その娘の晴美はおっとりしてかわいらしい。隣保班の知多さん、刈谷さん、堂本さんも個性的だ。
配給物資がだんだん減っていく中でも、すずさんは工夫を凝らして食卓をにぎわせ、衣服を作り直し、時には好きな絵を描き、毎日のくらしを積み重ねていく。

ある時、道に迷い遊郭に迷い込んだすずさんは、遊女のリンと出会う。
またある時は、重巡洋艦「青葉」の水兵となった小学校の同級生・水原哲が現れ、すずさんも夫の周作も複雑な想いを抱える。

1945(昭和20)年3月。呉は、空を埋め尽くすほどの数の艦載機による空襲にさらされ、すずさんが大切にしていたものが失われていく。それでも毎日は続く。
そして、昭和20年の夏がやってくる――。

普通という日常をみなさんは当たり前だと思っていませんか? それがどれだけ幸せなことで、大切なことなのか。立ち止まって考えてみませんか? 『この世界の片隅に』はそんな映画です。

【感想】映画『この世界の片隅に』

普通という幸せな日々

戦時中の映画というと重苦しい映画だろうと思われがちだが、本作に至ってはそのような心配は皆無であると最初に言っておこう。

それは、主人公すずさんのほがらかで天然な性格も大きく関係しているし、声を担当したのんさんの演技が素晴らしかったことも大きい。

劇場で鑑賞させてもらったわけだが、時折あちこちからクスクスという笑い声が起きていた。

それは日常の何気ない一コマ。
すずさんと旦那さんの周作さんの絡み、はたまた、ご近所の奥さん連中との絡み。どこにでもある、普段私たちが当たり前だと思っているような当たり前のこと。

普通であることがどれだけ幸せか、考えてみれば、それは至極当たり前のことなのだが、なかなか実感は沸かない。特に若い世代ならなおさらだ。

昭和20年のあの夏の日

戦時中ということで、最終的には8月のあの夏の日は否が応でもやってくる。戦争というものが、たくさんの大切なものを突然奪っていく。それはすずさんも例外ではなく、それでも一生懸命生きている。

でも、失ったものはあまりに大きくて、押しつぶされそうになる。

僕たちは想像するしかないが、確かにその日々はあったのだ。

この世界の片隅に

『この世界の片隅に』、すずがいる、周作がいる、みんながいる。それは戦時下という非日常の中で、普通であるという幸せ。

戦争が終わってもその日々は続いていく。

笑いあり、涙あり、考えさせられる部分も多い、『この世界の片隅に』はそんな映画でした。個人的にはすずさんに全編ニヤニヤしっ放しの映画ではありましたが。

そんな気持ちを代弁するようなイラストをtwitterより紹介させて頂きます。

最後は結構重苦しい部分もあるので、全編こんな感じと期待されても困るのですが、概ねこんな感じで間違いないかと(笑)。

まとめ

こうの史代さんの優しいレタッチの作画がそのまま動いている当作品。公開劇場数が圧倒的に少なくはありますが、この規模としては大ヒットしているようです。クラウドファンディングで融資してくださった方には本当に感謝ですね。

最後に、劇場で観れる環境にある方は絶対に観た方が良いという感想を持って締めさせて頂きたいと思います。

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ささのは

風景やポートレートを撮っています。
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