感想『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は2回目を観たくなる映画だ
あらすじ
夏休み、とある海辺の町。花火大会をまえに、「打ち上げ花火は横からみたら丸いのか?平べったいのか?」で盛り上がるクラスメイト。そんななか、
典道が想いを寄せるなずなは、母親の再婚が決まり転校することになった。「かけおち、しよ」
なずなは典道を誘い、町から逃げ出そうとするのだが、母親に連れ戻されてしまう。
それを見ているだけで助けられなかった典道。「もしも、あのとき俺が…」
なずなを救えなかった典道は、もどかしさからなずなが海で拾った不思議な玉を投げつける。すると、いつのまにか、連れ戻される前まで時間が巻き戻されていた…。何度も繰り返される一日の果てに、なずなと典道がたどり着く運命は?
繰り返す、夏のある一日。
花火があがるとき、恋の奇跡が起きる―
最初に言っておく。僕は原作となった元を知らないし、前知識もゼロ。ただ、シャフトの新房さんが夏っぽいアニメ映画を作ったんだなという認識のみで映画館に足を運んだ。
感想『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』
ただ、新房さんが夏っぽいアニメ映画を作ったというだけでは僕は決して足は運ばなかっただろう。なぜなら僕はそこまでシャフトに思い入れがあるわけでもない。「まどマギ」を作った、「物語」シリーズをアニメ化した、その程度のイメージだ。
そんな僕の足を運ばせたのがタイトルだ。『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』、なんとも心がくすぐられる、秀逸ではないか。これは名作になりうるのかもしれない、自然に足は映画館に向かっていた。
キャッチコピーが壮大すぎて『君の名は。』と比較される不遇
ストーリーは悪くない。90分という丁度良い時間で、なかなかうまくまとまっている。では何が物足りなさを感じさせるのか?
それはキャッチコピーの壮大さに中身が釣り合っていない点だ。
物語は「もしも玉」と呼ばれるキーアイテムを主に進んで行くのだが、ストーリー自体はぶっちゃけそこまで壮大ではないのだ。よくあるタイムリープものなのだが、巻き戻る時間が限定的だ。
「何度でも君に恋をする」
これは正直いかん。煽りすぎだ。観客が肩透かしを食う気持ちもわかる。
昨年大ヒットした映画『君の名は。』、もちろん僕も劇場まで足を運んで観ているし、BDも購入済。こちらのキャッチコピーも壮大だったが、本編に見合っていた。
変に昨年アニメ映画がヒットしてしまったものだから、このキャッチコピーに加え、マスコミが悪い意味で騒いだため、世間の期待がひどく上がってしまったように思う。
これは作品が悪いわけではなく、単に宣伝の打ち方が良くないのだ。
良くも悪くもシャフトであったことも賛否両論を生んだ?
ヒロインのなずなを見たとき、僕の頭にはぶっちゃけガハラさんが浮かんだ。まんま中学生時代みたいな雰囲気。それもそのはずで、キャラクターデザインは物語シリーズと同じ渡辺明夫さん。映画ということで少しアニメっぽいクセは抜いていたように思うが、それでもまだ個性が強い。
に加え、校舎内の螺旋階段、心理描写をする際の目のアップ。どこからどう見ても、普段のシャフトではないか。個人的には、なずなのアップは平気だったが、典道のアップは少しきつかった。繰り返し過ぎも良くない。危うく前半でギブアップするところだった。
あらすじくらいは鑑賞前に見ておいた方が良い可能性
僕だけなのかもしれないが、主人公達が中学生である描写が本編のどこにもなかったので、後半、なずなが「16歳に見える?」というセリフを発するまで中学生なことに気づけなかった。最初から中学生だと思って見ていれば、また少し見方も変わるかもしれない。
とはいえ、なずなは可愛い
電車の中で唐突になずなが松田聖子の「瑠璃色の地球」を歌うシーンがあるのですが、これが本当に可愛い。おじさん、こんな娘が欲しいなぁとクラクラした。ビジュアル面だけ見ると、クールなイメージの子なのかと思っていたが、全然そんなことはなかった。なずなが可愛かったおかげで最後まで観れた感はある。余談だが、香菜ちゃん演じる先生も可愛かった。
モヤモヤ感は製作者の意図?
最後は観客側に投げて終わり。物語はそれからどうなった? というところでEDロールが流れ始める。明確な回答を示してくれないので、普段から単純明解、ハッピーエンドを望んでいる観客からは、どうしても低評価になりやすい。
ちなみにEDで流れる「打上花火」という曲は大変素晴らしい。
まとめ
観終わった後、すぐにあともう1回観ようと思った。なぜなら、この映画は1回観ただけで評価してはいけない気がしたからだ。全てをわかった上で、もう一度最初から観て、初めて良かったなぁと思える気がする。そんな映画だった。
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