雑記

【感想】「空の青さを知る人よ」姉妹愛に涙する。

投稿日:2019年10月14日 更新日:

映画『空の青さを知る人よ』公式サイト

今年の春先に発表された超平和バスターズの最新作にして、秩父三部作完結の空青が公開されたので早速観賞してきた次第である。

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感想「空の青さを知る人よ」

STORY

山に囲まれた町に住む、17歳の高校二年生・相生あおい。将来の進路を決める大事な時期なのに、受験勉強もせず、暇さえあれば大好きなベースを弾いて音楽漬けの毎日。

そんなあおいが心配でしょうがない姉・あかね。二人は、13年前に事故で両親を失った。当時高校三年生だったあかねは恋人との上京を断念して、地元で就職。それ以来、あおいの親代わりになり、二人きりで暮らしてきたのだ。

あおいは自分を育てるために、恋愛もせず色んなことをあきらめて生きてきた姉に、負い目を感じていた。姉の人生から自由を奪ってしまったと…。

そんなある日。町で開催される音楽祭のゲストに、大物歌手・新渡戸団吉が決定。そのバックミュージシャンとして、ある男の名前が発表された。金室慎之介。あかねのかつての恋人であり、あおいに音楽の楽しさを教えてくれた憧れの人。

高校卒業後、東京に出て行ったきり音信不通になっていた慎之介が、ついに帰ってくる…。それを知ったあおいの前に、突然“彼”が現れた。“彼”は、しんの。高校生時代の姿のままで、過去から時間を超えてやって来た18歳の金室慎之介。

思わぬ再会から、しんのへの憧れが恋へと変わっていくあおい。一方で、13年ぶりに再会を果たす、あかねと慎之介。せつなくてふしぎな四角関係…過去と現在をつなぐ、「二度目の初恋」が始まる。

最初に言っておくと、この物語は最初から最後まで姉妹愛をテーマに描いた作品である。であるから、もちろん天変地異も起こらないし、劇的なことも何も起こらない。でも、それで良い。

なぜなら、この作品を観に来る人は、そんなことを求めていないから。予告から想像される通りの内容で、自分の頼んだメニューがそのまま出てくる感覚。だからこそ、僕は最初から最後まで穏やかな気持ちで、時折涙しながら作品を楽しむことができた。

「空の青さを知る人」とは?

物語のタイトルにもなっているが、元ネタはもちろん、ことわざの「井の中の蛙大海を知らず、されど空の青さを知る」だ。前半部分はよく聞くが、後半部分を聞いたことがある人は少ないかもしれない。

それもそのはずで、出典の「荘子」の原文には前半部分しか載っておらず、後半は日本に伝わった後に付け加えられたものだからだ。

要約すると、確かに井戸の中の蛙は広い海があることを知らないが、井戸から見える空の青さなど、井戸の中の世界に長くいたからこそ見えるものを知っているということになる。

これを物語にそのまま当てはめると、今作が見えてくる。

あおいは13年前の両親の事故から、ずっとあかねのことを縛り付けていると思っている。恋人(しんの)との上京を諦め、妹と2人で暮らすことを選び地元で就職した姉。義務感を感じて、自分と一緒に居てくれているのではないか? だったら、もうあかねのことは解放したい。姉のことが本当に大好きだから。

本作の中で蛙に例えられているのはあかねだが、もちろん本人は義務感などであおいと一緒にいるわけではない。

高校生だった頃から、あかねはおにぎりは昆布しか作らない。しんのがいくらツナマヨが良いと言っても昆布を作る。

ツナマヨじゃ昆布に敵わねぇよな、空の青さを知っちまったら

昆布はあおいの大好物で、あかねにとっては

昆布(あおい)>ツナマヨ(しんの)

が絶対である。

だからこそ、彼女はしんのを捨ててまで、一番大切なあおいといることを選んだ。

蛙(あかね)にとっての空の青さはあおいなのだ。妹と2人で13年間歩いてきた。今、井の中から2人で見上げる空の青さが、あかねにとっての一番の宝物だから。

ガンダーラという歌

1978年にリリースされたゴダイゴのガンダーラという歌。子どもの頃、再放送されていた西遊記というドラマのEDで流れていたので、何となく聞き覚えはある。

意味はどんな夢も叶う理想郷。

高校生の慎之介にとって、東京はどんな夢も叶う理想郷に思えた。あかねと2人で行くことは出来なかったが、頑張れば何とかなると考えた。でも、現実は厳しく、自分が思い描いていたようにはならなかった。

そんな今の自分が凄くダサくて、あかねへの気持ちも奥へ閉まった。

しんのと慎之介

あおいの前に突然現れたしんの。彼は13年前にあかねに東京行きを断られた後のしんのだった。

その夜に東京に行ってビッグになってあかねを迎えに来るという目標を立てたしんの。決意とともに今まで使っていたあかねスペシャルをお堂に置いていく。

しんのにとって、あかねは音楽と同じくらい大切で、そんな彼の想いがギターに宿った。彼は慎之介に忘れかけた想いを思い出して欲しくて現れたのだろう。

彼がどんな想いで過ごしていたかは、つい先日しんのと慎之介視点のスピンオフが発売されたので、じっくり読みたいと思う。

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あおいとあかね

あおいは口は悪いが直球で、姉思いの好感が持てる主人公だ。しんののことを好きになって、あかねへの想いと揺れるシーンは青春していた。

一方、あかねは絵に描いたような完璧なお姉ちゃんだ。しんのに言わせれば、可愛いババア。でも、本当はあおいの為に一生懸命頑張って努力して、とにかく妹想い。こんなお姉ちゃんは絶対幸せになって欲しいと思わされる。実際EDロールで幸せな彼女が映し出された時、本当に嬉しかった。

秩父の街並み

今作では秩父の街並みが本当に美しく描かれ、どんどん引き込まれていく。これから、本編と重なる紅葉の季節だし聖地巡礼も捗るだろう。

去年行ってすっかり紅葉の虜になってしまった埼玉県は秩父市の長瀞町。今年はどうしようか迷っていたのですが、友人の誘惑もあり結局は行ってきました。そんなわけで振...

昨年は行かなかったが、ここ数年はほぼ毎年行っているので、僕も行く。

まとめ

20代後半から30代後半になってくると、誰もが一度は挫折を味わったことがあると思う。でも、日々は続いて行き、何となく生きていると思えるかもしれない。

でも、あなただけの「空の青さ」も気づかないだけで、本当は側にある。本作はそんな忘れかけた想いを僕たちに思いださせてくれる。そんな作品だった。

あいみょんの挿入歌と主題歌も実にマッチしていた。小説を読み終えたら2回目を観に行きたいと思う。

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