【感想】「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝」手紙が編む絆。
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 – 永遠と自動手記人形 -』公式サイト
ヴァイオレット・エヴァーガーデンの新作が、外伝として今週末から3週間限定で公開がスタート。TVシリーズからのファンだった僕は、言うまでもなく劇場へ足を運んだ。
感想「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝」手紙が編む想い
あらすじ
……大切なものを守るのと引き換えに僕は、僕の未来を売り払ったんだ。
良家の子女のみが通うことを許される女学校。
父親と「契約」を交わしたイザベラ・ヨークにとって、
白椿が咲き誇る美しいこの場所は牢獄そのもので……。未来への希望や期待を失っていたイザベラの前に現れたのは、
教育係として雇われたヴァイオレット・エヴァーガーデンだった。
「劇場版」ではなく「外伝」と銘打っているこちらの作品だが、内容は完全新作で上映時間は約90分。新作映画と言っても問題ないクオリティに仕上がっていると最初に言っておこう。
物語の中心となるのはイザベラとテイラー、2人の姉妹だ。それぞれの想いに焦点をあて、物語は前半パート(イザベラ編)、後半(テイラー編)パートで進んでいく。
イザベラ(エイミー)の想い
自分の人生と引き換えにテイラーの幸せを願ったイザベラ。何もない彼女をヴァイオレットが訪ねてくるシーンからイザベラ編はスタートする。
最初はヴァイオレットに対して心を開いていなかった彼女だが、一緒に暮らすうちに徐々に心惹かれていく。
勉強、マナー、何でも出来るヴァイオレットが彼女にとっては輝いて見え、その上、自由だ。羨ましい。最初はその感情だけだったかもしれない。
でも、見えていたのは上部だけで、ヴァイオレットにはヴァイオレットの過去も想いもある。自分との共通点に気づいてからは大好きになった。
テイラーという妹がいて、彼女の幸せを願って人生を売ったとヴァイオレットに語るイザベラ。そして、舞踏会が終わった後、妹への手紙の代筆を頼んだ。
「これは、あなたを守る魔法の言葉です。エイミー、ただそう唱えて。」
イザベラの手紙をベネディクトが配達するのだが、文字が読めないテイラーに対して、代わりに朗読するシーン。
「ネエネー」とボロボロ泣き出すシーンでは誰もが心を打たれたことだろう。
テイラーの想い
ヴァイオレットの出した手紙を頼りにテイラーが郵便社を訪ねてくる。そんなワンシーンからテイラー編はスタートする。
イザベラ編は手紙を書くということに焦点が当てられたが、テイラー編はベネディクトを軸に郵便配達人に焦点を当てていくことになる。
ドールではなく郵便配達人になりたいと言うテイラー。
「郵便配達人が運ぶのは幸せだから。」
以前、ベネディクトが運んだ手紙が彼女に幸せを運んだ。だから、自分もみんなに幸せを運びたいのだと。
本編では郵便配達人見習いとして活躍?するテイラーが見られる。それは微笑ましく、観ているこちらの心を暖かくしてくれる。
テイラーは最初は文字を読むことができないのだが、郵便配達人になる為にヴァイオレットに教わって、最終的にイザベラ(エイミー)への手紙を書く。
そして、消息不明の彼女を探し、ベネディクトと一緒に手紙を届けに行く。
「私はテイラー・バートレット。エイミー・バートレットの妹です。」
テイラーの書いた手紙に「同じじゃねぇか…」と呟くベネディクト。それにエイミーの涙も加わって、誰もが泣いてしまう名シーンではないだろうか。
エイミーとテイラーを編むヴァイオレット
映画を観終わった後、今回のエイミーとテイラーの構図は、本編のギルベルトとヴァイオレットの関係に似ているなとまず思った。そして、少佐のことを救えなかったヴァイオレットが、2人の姉妹を救うという構図になっているのだろうなと感じた。
本編中でヴァイオレットが三つ編みを真似するテイラーに対して、
「2つだとほどけてしまいます、テイラー様。3つを交差して編みこむと、ほどけないのです。」
と優しく教えるシーンがある。
キーワードは三つ編みで、二つ編み(エイミーとテイラー)では絆は解けてしまうが、ヴァイオレット(手紙)が加わることで、強く結ばれ解けなくなる。
そういった想いが込められているのだと思う。
「君の名を呼ぶ、それだけで二人の絆は永遠なんだ」
だからこそ、手紙のシーンでテイラーは、“今は”エイミーに会わない選択をしたのだろう。
「テイラーーー!」
妹の名前を呼ぶエイミーは幸せで、最後に微笑むテイラーが描写される。そう、いつまでも2人の絆は永遠なのだ。
まとめ
本編終了後に劇場版の予告が流れ、鋭意製作中とのこと。ヴァイオレットとギルベルトについて区切りが打たれると思われるので、皆さんと共にじっくり待ちたい。その際にはまた感想を書こうと思う。
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